ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

華人警官11

 

チェンはレイのストーカーというか、自称お目付け役だった。

レイが警官とつきあっていることが、判明したのは最近だ。

ずっとレイはこのグループのスパイをやっていると思っていた。

警官と付き合うのは仕方無いと思っていた。

ところがレイは、本当にこのまま足を洗って消えてしまう。

幹部の赤蛇は、あまり興味が無さそうだった。

「あの女は大したことを知らない。ここで騒ぎを起こすほうが面倒臭いよ」

日本は大分、住み辛くなった。オリンピック開催が決まって、地下経済への締め付けが厳しかった。

だいたい日本に来るのは、1980年代のバブル以降の金余りの頃と比べて、全く勝ち組じゃなかった。大した金は落ちてこない。

「もう地元に帰るか。帰っても大した仕事はないけど。アメリカでも行くか」

「そんな簡単に行けますか」

最近はどこも締め付けが厳しい。セキュリティってやつだ。

赤蛇は、日中の警察が連携しているという噂を聞いた。

党の持っている個人情報はそのまま、日本の警察へ行くのだと。

だが、逆もしかりだ。

中国は地下経済が3割くらいあり、ブラック・マネーが野放しにしになってるから、当局とチャイニーズ・マフィアは実質つながっているという陰口をたたく人もいた。

少なくとも地下に流れる金を止めようという、日本の暴対法みたいのは、全く無い。

 

 

 


日本のセキュリティは、型落ちしていた。オウム真理教地下鉄サリン事件の頃に、急いで整備したものだ。

東京オリンピックに備えて、一部入れ替えるという噂だった。イクセルは末端のエンジニアだから、詳しいことは知らない。

「これだと、近距離のパソコンの画面を、そのままこっちのパソコンの画面へ映せます。大分、古い技術なんですけど」

「古いんですか。最近だと何ですか、Wi-Fiの電波盗むとかですか」

「お宅の会社、どこの会社だか覚えてないんですけど、前は日本人を雇ってましたよ。今回は違うんですか」

「人、足りないみたいですよ。キャッチアップが遅い」

「そうなんですか」

アメリカでは、日本人に詳しいことを教えると、中国人に漏れるという噂もあった。本当かどうか、知らない。

中国はグーグルを追い出して、万里の長城を敷き、独自のセキュリティを築こうとしている噂だった。

ITのプロジェクトは単体で受注するし、流行り廃りがあって、大企業に就職できなければ、そんなに長く同じところへ勤める人は少ない。

中国のIT技術の元は日本と同じで、アメリカから入れたはずだ。北京オリンピック辺りで。またはシリコンバレー帰りの海亀組から。


「俺は何も知らないんですけど」

「僕も何も知らないですよ。ある程度の技術を持ってるだけです」

 


坂下はイクセルの持ってきた技術があまりに分からな過ぎたので、

勤務時間外に、金を払って教えてもらうことにした。

警察はペイの悪い組織じゃない。この先、使えない人は置いてかれる。

今の警察の出世街道は、昔ほど整っていない。何が減点になり、何が得点になるか、不明だ。

イクセルの自宅にいたイクセルの妻はアジア人で、メイと名乗った。

「メイさんは、中国の方じゃないんですか。日本の方じゃないですよね」

「何でわかるんですか。ほとんどの人は、中国人って言いますけど。アジア人の中で、一番数が多いから」

「俺の恋人は、中国人なんですよ」

イクセルはエッて顔になった。

こんなことで意気投合してはいけないと思う。日米同盟に響くような気がする。

警察に日米同盟なんてあるか。たまにFBI辺りに研修にいったりする連中がいるみたいだけど。

「だけどその恋人は、スーパー・ハッカーだったりしないんですか」

「メイさんはどうなんですか」

お互い、パートナーのことを、そこまで詳しく知らなかった。

どうせ元は不法移民だし、警察のデータで調べても、大した情報は出てこない。

彼女たちが、中国当局と通じる動機も特になかった。

ソレは他のアメリカ市民に接触してきたときと同じじゃないか、だけど彼女たちは本国に家族がいるんじゃないのか。

ソレをいったら、どの移民だって同じだ。

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