ちきうアネクドート

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インドの汚職を暴くアノニマスは、NSA辺りがその気に成れば一網打尽できるという噂があった。アメリカ政府公認のヤラセだ。

汚職が常態化して、浄化しないとどうしようもないときに、アノニマスを使えば、誰かが誰かに憎まれずに済むし、波風も立たなかった。

匿名のルールを守って、大人しくしている限り、便利屋だ。ハッキングは違法だが、公益の為に野放しにされていた。

「あんたんところの犬が、キャンキャン煩い。どうにかならないか」

インド2の首相の側近が堂々と、CIAにクレームを入れた。それが、筋違いの抗議とは、考えもしない。

全く図々しいのがインド2の政治家だ。そうでないと、インド2で政治家なんてやれない。

「談合で決まったプロジェクトの公示か、つまらんビジネスを考え付いたもんだよ。

だが、正義感気取りのお子さんには悪いが、この手の情報ギャップに付け込んだ商売は、予想外に多いんだよ。インド2が例外じゃない。アメリカの情報カモリは込み入ってるんだ」

インド2の側近のチクリは、筋違いとは言えなかったようだ。

アメリカの要人は、インド土人の電話をすぐに切ったが、CIAですぐに対応策が検討された。

先進国で汚職は少ないが、アメリカだってアノニマスが面倒臭いのは代わりがない。

タチが悪いハッカーはサッサと逮捕し、監獄行だと脅して、政府側で飼う。だからアメリカの政府側の技術は、アノニマスに負けていない。

「情報ギャップを利用して、差額をポケットに入れたことのある前科者を集めて、対策会議でも開こうか。トランプホテルが100個あっても足りないな」

CIA1はイヤミを垂れた。

「放っておくと、こっちにまで汚染してくるってことですか。要するに株なんかで、インサイダー情報を外からハッキングして漏らすのと同じでしょう。思想としたら」

本当にトランプホテルが100個あっても足りない。そういう商売は多く、合法のまま横行していた。

「だけど、インド2しか標的にしてないから、良いんじゃないですか。

アノニマスはCIAには怖く無い。アノニマスだって命は惜しいですよ。むしろアノニマスだから命が惜しいんだ。

奴らが匿名なのは、つまり命を危険に晒すことはしたくない、肝っ玉の小さい奴の集まりだってことだよ。

ヘタレモヤシだ。ヘタレモヤシの命綱になる知識を授けた先進国には、感謝の念しか湧かない。そういう奴らだ。

インド2のアノニマスは、だいたい汚い途上国で、教育を受けられない知能の高い同胞に同情してるんだよ。俺たちに累は及ばない」

だからインド2のエンジニアは、土地という新しいジャンルを開拓して、頭の回る人は大いに儲けて下さいっていうゲームを作った、とCIA2は締めくくった。

要するに、インド2ほどの汚職もしてなければ、彼らに知識を授けた師匠である、俺たちアメリカ人は大丈夫だろうという、吹かしだった。

NSAだって、この暴露ブームがアメリカに逆流してくるようなら、放っておけない。

以前、CIAへの反逆者スノーデンで大騒ぎしたばかりだ。

技術者のセキュリティ・クリアランスは難しい。だいたい前科なんか無い。情報に精通した職員に、ある日突然、いきなりやられる。

どうするの、反社性向テストでもするのか。

 

 

 

ボームはアノニマスのCMが流れるテレビを見ながら考え事をした。

「1000ルピーからのジャララバードの一等地」

ソープオペラの合間に、こんなの流しても仕方が無い。奥さん方や暇人が土地に手を出しても、火傷するだけだ。

どうして人口爆発という地価上昇の要因を抱えるインド2で、不動産ビジネスの解禁が遅れたかは不明だ。

ボームは将来を憂慮した。

狭い土地の割に人がここまで多いと、人の値段より土地の方が高い。おまけに文盲が多いから、二束三文の人は多い。

起こり得る悪徳は何となく想像出来た。土地と人が取引され、人はないがしろにされる。

とにかく、インド2の人の値段は安い。

不動産は、義賊気取りのアノニマスが目玉にするほど、元々綺麗なビジネスではない。

裏で札束が飛び交ったり、破たん者がでたり、契約書の読めないアホが引っかかったり、ロクでもない結果はつねに付きまとう。

「人は商品ではありません。子供の未来を奪わないようにしましょう」

アノニマスは、カモフラージュなのか罪滅ぼしなのか、単純に警告なのか、こういうCMもよく打っていた。政府広報と大して区別がつかない。

かつてインド2政府は食糧不足に悩み、人口抑制の為の啓蒙をしていたが、規制の無いバングラディシュ辺りは人口爆発していた。

カースト制度下で、努力は無意味だし、運命は変わらない。

それで人々は、子供を大切に育てて上昇しようという気運が削がれていたから、人を売ったりすることに良心の呵責がなかった。

貧しい人は、例えばこんなふうに考えた。

うちの子供は、このままここで最低カーストにいても、ヨソで奴隷になっても、送れる生活の水準は大して変わらない。

相手がいい主人なら、働き者を、取り立ててくれるかもしれない。

もしくは一家の大黒柱が破たんして、人と土地を交換したりするのは、貧しい農村などで、普通の風習だった。

インド2の農村は長いこと国に放置されていた。

政府は人気取りで、農作物を安く買い上げて、人々へ安く売る。

一方、買い叩かれる農家に保証は無い。しわ寄せは農村に行き、だから農業は衰退し、最貧民の仕事になった。

そこに灌漑技術などを持つ外資NPOが入って、なんとか成り立っている状態だった。

インド2は元々、雨季や乾季など、気象の波が激しいから、農業で損害を被る確率は、温帯より高い。

ボームはスラムのスカウトで、シーハという農村出身の少女と知り合った。だが海外のNPOへ行くと言って断られた。

ハタ目にも賢そうな少女だった。ジャララバードでは、誰もが鵜の目鷹の目だ。

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