ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

indian anonymous5


NPOのマリアの涙は、トラフィッキング被害者の全員を救っているわけじゃない。

たまたま目の前に入れば、介入する、そんな感じ。

今日は目の前にシーハと、そのお父さんがいた、それだけだ。

先進国にだって暇人が多い。

インド2政府は面倒臭いのでマフィアは野放しだが、人身売買している姿なんかが海外メディアに乗ってしまったら、そいつの商売は上がったりだ。

インド2当局も世界の圧力が面倒くさいので、そのマフィアは牢屋に放りこんで、お終い。マリアの涙はそうやって個別に政府と掛け合い、人を救った。

シーハの父という人は、シャムと名乗った。

本名ではなく、昔、猫を飼っていたからだと言った。

インド2のスラムに猫なんているの。よく食われないで済んだよ。本名なんて忌まわしいし、サッサと忘れるべきだと彼は言った。

スラムは珍獣の集まりで、誰もが薄汚れた姿をし、玉石の区別はつかない。

手におえないバカは、人から物を盗んだり暴力を振るうことに躊躇がない。そういう人はNPOも扱い切れないから、食料をやって放流するしかない。

そこへ行くと、2人は分別を弁えていた。

マリアの涙は、志のある人には、ある程度採算度外視で優しい。貧民が成長して力を付けたら、それはそのNPOの実績だ。


「インドに最低賃金は導入できないの」

シーハは乾いた砂が水を吸うように、知識を吸収した。スタッフにとって彼女は質問魔だ。

「無理でしょう。これだけ人が溢れていると、今日の酒代だけでいいから働くという人が多くいる。

その人たちはだいたい、まともな工場で働くだけの訓練を受けてない。

ピーナツみたいな給料の仕事だって、貧民の生きる糧と受け取らざるをえない」

 

 


一介の技術者として企業などへ腕を売って回るアノニマス自体は土地を持たない。

ソイツが土地ビジネスをやる。お笑いだとアノニマス同士は自嘲した。

インターネット上のスペースの全てをグーグルが牛耳っていて、全員小作人、ということもできる。かどうか、不明だ。

限られたスペース、それは空間が歪んで5次元にでもならない限り、人の生きるところへついで回った。

土地貴族は来ているといえば来ているし、終わっているといえば終わっているようにも見えた。

アマゾンに代表されるインターネット通販が、リアルに根差した小売商店群を駆逐した。

一等地を手に入れること。グーグルの検索で1位になること。

21世紀の土地貴族ってのは、何なのか。

確かに人口爆発の昨今、土地は貴重だ。

インターネットのスペースと、地表空間は、別々のようにも見えるし、絡み合っているようにも見えた。


アノニマスってのは先進国政府の犬なんだよ。知ってるだろう、クソが。

タックス・ヘイブンの利用者リストで晒されたのは、全員、途上国の汚職政治家みたいな奴だ。

ホンマモンは迂闊に晒されたりしない。あの中にブッシュ一族やロックフェラーが載っていたか」

「欧米の財閥は、タックス・ヘイブンなんて使ってないんじゃないですか」

「そんなこと言っても、現状、インド2の汚職の方がヒドイから、意味無いと思いますよ。文句があったら、汚職止めるしかないんですよ」

「開発計画に群がるくらい、誰でもやってるじゃないか。白人連中はいつも、自分を棚に上げてコレなんだよ」

インド2の高級官僚は、悪態をついていた。あんまり褒められたものではない憤りだ。いきおい、部下の口も滑る。

アノニマスなんか逆に利用して、アメリカでトランプの汚職情報でも集めたらどうですか。彼は4回破たんしてるし、トランプの不動産ビジネスの土地入手の経由だって、怪しいです。だいたい、怪しくない土地入手の経由自体、あるかどうか分からない」

部下の口は滑り過ぎていた。インドの汚職政治家に、アメリカのことなんか、分からない。雲の上だ。

「俺はまだ、死にたくない。死にたくない」

この役所には「汚職撲滅」みたいなポスターすら貼っていなかった。

意識の低い奴は反省しないし、出てくるのは他人の悪口が多い。

「トランプって人は、意識が高いのかね。仮に彼をウチに連れてきたら、大ナタを振るうと思うか」

インド2の役所と国会の、どっちの手が汚いのかは不明だ。果たして、役人の怠慢と、政治家の汚職は、どちらがマズイか。

最近はけっこう頑張ってますよ、インド2の役人、という噂もあった。

「アメリカは、あんまりウチには絡んでくる気配がないから、いいんじゃないですか」

「だけどパキスタンアルカイダとCIAの巣窟にされたし、中国だって為替差益とかが狙われてる。あんまり油断しない方がいいよ」

 

 

 


「A地区には100階建の鉄骨アパートが立ちます。貧しい人に衛生環境を」

シーハがCMで宣言した。

NPOがスラムで貧窮していた少女を救い上げ、彼女は手持ちの才能を発揮した。

ありがちなサクセスストーリー、それをマリアの涙は重宝していた。

「俺らが地上げしようと思ってた区画だよ。何でそんな話になってるんだよ。住民が不良化したらどうするんだよ。

というか、貧民は不良そのものだ。建てる前から不良債権の塊じゃないか」

汚職政治家の1人、イタチは舌打ちした。

「いつか立て壊せばいい。スラム街をブルドーザーでならしたって、どっちだって同じだろ」

「だけどこの女は、アメリカのNPOか何かが、目を掛けてるらしい。アフガニスタンのマララみたいになってきたら、どうする」

「お前がこの女を撃って、急所を外せばそうなるかもしれないな。マララは、それで世界的に有名になった。

だが、彼女はただスラムに衛生住宅を建てようってだけだ。そんなチンケな出来事で、世界は動かないよ」

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