ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

indian anonymous7


サニーは、レイモンドという人に紹介された。彼は、同じ没落貴族なんだそうだ。

レイモンドは開口一番、ある政治家に会ってまったくロクでもない奴だったとこぼした。

キミみたいな爽やかな青年は歓迎だ。心が洗われるよ。すみません、俺はアノニマスです、サニーは心の中で舌を出した。だけど敵は共通していた、インド2を荒らす汚職屋たち。

主人はレイモンドにチャチャを入れた。

「ここにご機嫌伺いに来る政治屋が、犯罪的だってことは無いと思うよ。キミは、貧民が、どれだけ汚いか知らないよ」

貧民は汚い、か。サニーは元々、貧民だった、この頭脳がなければ。だが今更、スラムの人々と握手する気にはなれない。それは分かる。

握手したら指が1本無くなりそうだ。出生地の寒村の幼馴染ですら、アメリカへ留学してエンジニアに成りあがったサニーのことを、妬ましいだけだろう。

雇って下さい、なんて人もいるかもしれないが、当面サニーにそんな金はないし、今時の青年は身の回りの世話を他人にさせるのに慣れてない。

「先祖代々の土地は高く売れるが、そんな商売をしていたら、じり貧だ」

カーストには、帝王学があった。商売のやり方や教養を家庭で継承した。高い金を払って行く、いい学校で知識を身に着けた。

が、世の中の流れは速い。いかな貴族だろうと、必死で走らないと、家系は維持できない。

 

 

「お父さん、私は知りたいことがあるの」

「お前に分からないことは、俺にも分からないよ」

マリアの涙から貰った古着のチノパンとTシャツを着たシャムは肩を竦めた。彼だって知らないことを知りたかった。

どうやって、俺たちはここから抜け出せるのか。

どうしたら、もう誰も失わなくて済むのか。

もうモノを覚える力は、若い人には敵わないと、シャムは周囲の少年、少女たちを見て思っていた。

自分が元々、頭がいいんだか、悪いんだか、試す機会も無かったから、分からない。

「100階の衛生住宅を建てると、スラムの人が全員が家に住める。それで?そんな美味しい話は聞いたことが無かった。そのお金はどこから出ているの?」

シーハが畳み掛けるとき、ソレが1センテンスで終わることは少ない。たたでさえシャムには知らないことが多いのに、シーハの質問はだいたい、1回に3つくらい入っていた。

「インド2では、運ってのが大事なんじゃないか」

シャムは自虐した。俺みたいに、役立たずなのに拾われる運だ。

シーハが少し冷たい目でシャムを見た。何だよ、俺が役立たずなのは分かってるだろう。

亡くした娘も生意気な子供だった。でも、もう思いだしたくない。かといって忘れることもできない。

 


「このスラム街をブルドーザーで整地っての、反対しておいた方がよくないですか」

アノニマス1は、最近潮目が変わってきたことを感じた。

政府情報のスッパ抜きは、シャレで始めたビジネスだが、リアル商人が参入し始め、この手の商売の悪どい面が全面に出始めた。

どうして地面師は汚いのか。

そんなものは知らない。鉱山ビジネスに殺し合いや、奴隷使役がつきものなのと、似ているんじゃないですか。とアノニマス仲間のサニーは笑った。

没落貴族に縁談を持ち込まれたお前はセコイ奴だと、アノニマス1はサニーを小突いていた。定職のないアノニマス1にとって、嫉妬半分、あやかりたい媚びが半分だ。

土地ビジネスが汚いのはどうしてか。地道な努力はモノを言わない。とりあえず腕力で占拠してしまえばいい。

書類を適当にデッチ上げれば良い。知らない奴を騙せばいい。土地ビジネスにはそういう側面はつきまとう。

勤労の美学が通じる世界じゃない。

「最近のアノニマス・インド2は土地バブルを煽った、ゼニゲバの塊と思われてる節がある。

だが元々、アノニマスは裕福だ。暇人の遊びだから、そんなセコイ小銭稼ぎはしない。俺たちはこれを、単純にインド2の汚職へのアンチテーゼとして始めただけだ」

つまり一等地に隣接するスラムから人を追い出すと高く売れると考えた、中国政府みたいな奴が出現したってことだ。

 

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