ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

indian anonymous9


壁は、このスラムの仕切り屋的な存在だった。

壁みたいにデカいから壁だ。

貰った食料をスラムで何とか均等に分け、そのトラックの男と知り合いになった。

トラックの男は名乗らなかった、それはいつものことだ。スラムで名乗りを上げるバカはいない。

壁は完全にマフィアってわけじゃない。マフィアはスラムにも湧いてくるが、インドのマフィアはタチが悪いから、壁はつかず離れずでいたかった。

その処世術がスラムでは重宝された。完全な搾取者ではないが、大物と渡り合い、頼りになった。

壁はシーハという娘を狙っていたが、いなくなってしまい、クサクサしていた。

狙っていた、というのが、どういう意味か壁にも分からない。

やり逃げするという意味ではない。側に置いておきたかった。

スラムには2つの人種が混じっている。女なんか性欲の赴くままに襲ってそのまま逃げればいいという投げやりな奴と、この汚泥でせめて、自分なりの長続きする幸福を築きたいというタイプだ。

腹が減り過ぎて、そんな気力もないって奴もいるが、だいたい死んでしまう。

シーハはいつも父親らしき男の側にいた。

 

 


「スラム住人を追い出し、自分に票を入れた奴に、衛生住宅をプレゼントする。そんな手口で票を集めるイタチって政治家は悪魔だ。この住宅に入れなかった人は暴動を起こそう」

食料と引き換えに、トラックの男がスラム住人に持ち込んだ煽りだ。

トラックの男は、壁に煽動のコントロールを依頼していた。あのとき壁が真っ先に、前に出てきたからだ。コイツはリーダー格なんだろう。

この辺は、イタチと呼ばれる政治家が仕切っている。

だが、あのジャララバードの衛生住宅の計画は、確かにイタチが噛んでいた。

そう、自分に票を入れると言う奴から、優先的に入れるのだ。

100階建ての衛生住宅に、1万人くらいは入れるとしても、ジャララバードのスラム住人の数は、1万人では済まない。

結局、新築に入れる住人と入れない住人がいる。

票を入れるから俺も入れろ、と言う連中が押し寄せたら、もう1棟建てるのか。その金はどこから出すのか。

「だが、いちいち不正とか何とか騒ぐか?スラムに住むのが当たり前のインド2でか?」

「騒ぐだろ。誰だって家は欲しい」

「あんなところに不当な特権は要らない。

善意で一度上手い飯を食わせたら、永久に上手い飯を要求してくるのが奴らだ。

上手い飯を食わせないという理由で、俺たちを殺しかねない。

インド2の貧民にとって、上手い飯は天から降ってくるものだ。自分で働いて得られるものじゃない」

 

 

イタチは、ジャララバードのスラム住人に暴動を起こされて頭を抱えた。

衛生住宅に入れるとか、入れないとか、インド2のスラム住人がいちいち気にするかよ、クソ。

かつて、ここでは運も差別も当たり前じゃなかったか。

最近の貧民はつけあがっている。が、起きてしまった暴動は仕方が無い、収拾するしかない。

このままでは俺は無能な政治家扱いされて、次の選挙が危ない。

「落ち着けよ。アンタらに家が無いのは、この女のせいだ」

イタチは、衛生住宅のテレビ広告に映るシーハを指した。目鼻立ちのクッキリした、ティーンエイジャーだ。白いサリーなんて、珍しい。黒髪と浅黒い肌が際立った。

イタチは、暴動の首謀者をみつくろって事務所へ呼び、チャイとお菓子を振る舞っていた。

「彼女は、こんな染み1つない、真っ白なサリーを着てるだろ。つまり服を毎日、洗濯できるような金持ちなんだよ。そういう偽物が、貧民の味方みたいな顔をする、それがインド2だ」

イタチは天に唾するようなセリフを吐いた。が、そこは政治家か、元からあまりキレイ好きではないのか、イタチのマオカラーのスーツは擦り切れていた。

が、イタチにも一応頭はついているから、スラム街に来るときはコレで、高カースト外資と会談するときは、門前払いを食らわない為に、キレイなスーツを着た。

「この女は、お前らと同じジャララバードにいた。ただの出稼ぎ貧民で、お前らと同じだ。

それが、マリアの涙っていう売国NPOに、体を売って、フカフカのベットで寝てるんだよ。クソだと思わないか」

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