ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

indian anonymous11

 

この手の汚職に噛むほど汚れていないサニーは、その悪巧みを、ヨソでやれと言うこともできた。

側で密談されたら、黙って部屋を出て行って、聞かないこともできた。

1、知ること自体がヤバイ。
1、知らない方がヤバイ。

どっちでSHOW、というテレビのクイズ番組が脳内に浮かんだ。

隣で話し込む、アノニマス1と、岳父レイモンドの甥のMBAホルダーは、どっちもサニーの仲の良い知り合いだ。

遺恨もないし、仲良くしてもらうのは一向に構わないが、自分は黒い煙を吸って死にたくない。

サニーは必至で賢者のように考えた。「さしあたって、家主のレイモンドにチクッたらどうか」

それが一番安全な気がする。

レイモンドがどう反応するかは、分からない。

1、慌てて止める。
1、自分も噛もうとして、一計を案じる。
1、親族のメンバーの自由を尊重して、シカトする。

レイモンドだって没落貴族だから金が無い。汚職政治家に一泡吹かせようと言い出しかねない。

金は収まるべきところに収まるべきだ。汚い手よりもキレイな手に握られるべきだ、と。

だけど、だから何だよ。

親族の一部に暴走されようと、全員に暴走されようと、違いが無い。

だったら、妻を連れて、逃げたらどうか。

サニーは有体にいって、妻のことが好きになって、岳父のレイモンドにも好感をもたれたから、結婚に至った。

サニーは金の為に嫌いな相手を結婚するほどスレてなかった。没落貴族の集団から逃げても、大したことは無い。

彼らは、ヒットマンを雇う程の執念の持ち主じゃない。

もちろん、事態がヤバくなった場合だ。エンンジニアの技術だけで、生活して行ける保障がない。

プランB:隣の密談野郎たちが成功し、誰も傷つかずに、金だけが手に入るかもしれないし、とにかく帰結が不明だ。

 

 

 

「ナノはお父さんが悪巧みをしているのを、見たことがあるか」

サニーは寝室で妻に聞いた。

彼女は夜逃げなんて出来るタチじゃない。深窓の令嬢だ。

「悪巧みですか」

「この家には、変な政治家連中が来るだろう」

「それはしょっちゅうです。

お父さんは、彼らが腰を下ろしたソファーには、家族を座らせないの」

レイモンドとミスターMBAの甥、友人のアノニマス1。

もし彼らがしくじったら。もしこの幸せな家に、司直の手が入ったら。

ソレをサニーは愛する彼女に、そういうことが怖くて聞けなかった。

話した方が良いか。話さない方が良いか。

ナノだって高カーストの家の娘だから学はあった。

 

 

だいたい、暴動は、止めたほうが良いのか、このまま炎上させた方がいいのか。

シーハは悪いと思ったが、シャムの手を引いて脱走した。

シーハはジャララバードへ戻れば、

元のスラム住人だ。そうしたらもう、何もできることは無い。一生文盲のまま、スラムで終える。

人の役に立つことも、何もできることが無い。マリアの涙に拾われた僥倖の意味が無い。

ジャララバードのスラムの人々は、暴動を起こして、それで、どうなるか。

恐らく、首謀者らしき人々に聞いてみても、意味のある答えは返ってこない。

住宅に入れなかった腹いせに暴れているだけだ。スラム住人は、猿だ。

仮に猿でないとして、インド2の政治の仕組みなんて、次々に建て増したオンボロアパートくらい、ゴチャゴチャしていて手が付けられない。

誰に相談していいか分からないし、ここで、誰がいい人で誰が悪人なんて、分かりにくい。

ソレはスラムだって同じだし、マリアの涙の方が、殺されそうにならないだけ、大分マシだ。

スラムではシャムしか心を許せる人がいなかった。

ここの人たちは文明人だ。だけど、後ろに悪巧みを秘めた親切っていうのがあることを、シーハは知った。

だからマリアは涙を流すんだろう。このNPOは、そこまで考えて付けた名前じゃないんだろうけど。

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