ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

indian anonymous12


「偽情報を流して、土地取引で金を巻き上げる?」

「偽情報を流すんではありません。

アノニマスは、インド2の役場の密室で決まる都市計画を、CMで庶民へ流しています。

それを一足先に知り、市場で有利に振る舞うんです」

レイモンドは、滔々と話すサニーに、お前は何を言っているんだ、という顔をした。

レイモンドだって、アノニマスのCMは見たことがあった。

彼は心の疾しい男だ。汚い政治家連中の持ってきた、開発計画の先食いに、没落貴族のレイモンドは1回や2回は噛んだことがあった。

あくまで1回や2回だ。何度も、じゃない。

大金を貯め込んでどうしようという気は無いが、誰だって一族を養って行かないといけない。

が、アノニマスの件はよくわからなかったし、レイモンドは娘婿をガッカリさせたくなかった。

「俺はそういうことをやったことがないから、分からないが」

「甥御さんと俺のアノニマスの仲間が手を組んで、それを、やって良いかってことです。

僕はそれを聞いて、胸騒ぎがしたから、お父さんに相談したんです」

 

 


アノニマスを始末する?」

スラム住人に暴動を起こされて腐っていたイタチの事務所に訪れたのは、珍しい白人客だ。

それ自体、インド2は外資の投資が多いから、珍しいってこともないが、白人は留学組とかエリートを好んだ。薄汚れた政治家の元になんか、あまり来ない。

貧民上がりのイタチはそういうオコボレにはあずかれないから、もっぱら汚職とかやっていた口だ。

「ああいうのは、適度に汚職を防止している程度ならいいんです。だが、そろそろやりすぎの域に入ってるよ」

アノニマスを追い払う、ソイツは朗報だ、イタチは喜んだ。

旨味の多い土地とゼネコン汚職のトライアングルを次々に崩していく、アノニマスは本当に、邪魔だ。

白人客の丁寧な物腰に、粗野なイタチは上手く対応できないが、精一杯の誠意を見せた。

「何とかするといっても、インド政府は腐敗しているから、エンジニアにあまり人気が無いし、予算もありません。

それでアメリカほどのセキュリティが無いから、こういうことになっているんです」

アメリカは大統領の票の不正操作の件でいまだにモメていた。

アノニマスとは無関係だが、そういうことへの締め付けが強まり、ハッカー連中は肩身が狭い。

イタチは失礼に当たらない程度に客を見た。自分とは違う、パリっとしたスーツ、真っ白な肌。俺に運が向いてきたのか、運が尽きたのかは不明だ。だが、この訪問客は、何かを握っている。

 

 


「シーハは何か殺されるようなことをしたのか」

シーハとシャムはスラム街にいた。昔と同じの姿だ。

シーハは俯いていた。コレは賭けだ。またマリアの涙に戻っても、二度と居場所はないかもしれない。

「衛生住宅の件で、スラムで暴動が起こったから、彼らは私を盾にして、矛先を逸らしたいの」

「そうか。見返りを要求してこない親切なんて、世の中にはないよ」

得体のしれないスラム住人に囲まれ、シーハはシャムに寄り添っていた。シャムはシーハについて来いと言われたら、ついていくしかない。

俺にこんな怖い娘はいなかった。だけど、死んだ娘と同じくらい気にかかった。

「勿体ない事をしたよ。俺が身代わりってやつになってもよかったのに」

「もしCMに出ていたのが、お父さんだったらね」

彼は何か月か、マリアの涙にいて、何を考えたんだろう。シーハはシャムをチラっと見た。彼と私の考えたことは、どのくらい違うのか。

「テレビCMに中年男が出たって、人の同情は引けないよ」

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