ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

indian anonymous13


「アンタんところの娘婿は、アメリカ帰りのエンジニアだろう」

「ハア」

来宅したのは、やっぱり汚い政治家だが、レイモンドは一応最高級の紅茶とお菓子で歓待した。

このソファにいくつの汚い尻が腰を下ろしたか。

アンティークの机を挟んで、ソファが2つ向かい合っておいてあった。

レイモンドの娘がサニーに言ったことは本当だった。

レイモンドはプライベートでも、こっち側のソファにはまず座らないし、家族にも座らせない。

「政府は今度、アノニマスの一斉摘発をするらしい」

「そうですか。ですが、インド政府にはそういうテクノロジーがないから、野放しになっていたのでは?」

「アンタのところの娘婿に、やる気がないかどうか聞いてほしい。

小耳に挟んだところでは、彼はアノニマスの一員だ。

この件を断ると、彼は摘発を免れ得ない」

レイモンドは考え込んだ。

自分は汚職に噛んだことがあり、娘婿のサニーはアノニマスだった。どちらもインド2では日常茶飯事だ。大して不思議なことじゃない。

この泥水の中で足掻き、何とか生きて行こうとしただけだ。

俺たちは、大っぴらに人を殺したり、その金で飲み食いしている輩じゃない。大したことじゃない。

 

 

サニーは岳父から聞いたアノニマス摘発の件を、友達にチクった。これは裏切りじゃない。

つまり政府の犬を増やしているだけだ、

要するにアノニマスがインド2の政府の汚職荒らしの犯行をやめればいいんだろう。そうしたら俺らは安全だ。

サニーは義理堅く友達思いだった。自分の知り合いに、インドの得体のしれない監獄なんかに入って欲しくない。

「オイオイ、お前はそれで政府の犬をするのか」

「ふんなら、お前は監獄に入るのか」

パキスタンかどこかに逃げればいい。金があれば欧米に留学でもすればいい、エンジニアの門は狭まってる」

「インド2でハッキングをやる腕前ってのは、ジンバブエのセキュリティを突破したくらいの経歴にしかならないよ」

「どこだろうと、反政府活動をした時点で、アウトじゃないの」

「だが、アノニマスはアメリカの犬だよ。アメリカが暗に支援し、技術も流してきた」

「アメリカは気まぐれだ。奴らは奴らで、暇だったんだろう。事情が変わったんだよ」

排外主義に走ったアメリカはもう俺らを雇わないし、インド政府には金がない。

そのインド政府が雇うっていうんだから、悪い話じゃない。そう思うほかに、身の処し方は無さそうだ。

 

 

 

シャムは壁というスラムのボスに注意しないといけないと思っていた。

奴はシーハを狙っていた。取引を持ちかけられたこともある。

壁は女の側にいる人に許可を取るくらい、慎重な男だ。力に飽かせて住人に乱暴する男は、信頼は得られない。

それでシャムが苦り切っていた頃、2人はマリアの涙に拾われた。2人はスラムで目立たないような場所へいた。壁に見つからないようにしないといけない。

「どうしていいのか、分からないね」

シーハは考え事をした。ここへ出て来る前の出来事だ。

「潜入するのはスラムの連中に小銭をやればできる。シーハはただのスラム住人じゃない、人を動かす力を持ってる。俺としては、説得に立ってほしいが、無理か」

シーハはしばらく怖い目のスタッフと見詰め合った。なるべく穏やかな表情で。

シーハはスタッフに指摘されてから、なるべく怖くない目をするように努めた。

だが、怖くない目をすると泣いてしまいそうだ。自分の無力さが情けない。

「ここのスタッフを連れていくと、連中に妬まれて角材で殴られたりするかもしれません。

私は元々スラム住人だし、同じ汚い格好をしていれば、ここのマリアの涙のスタッフだとは、分かりません」

目つきのよくないスタッフはため息をついた。彼は、ひとまずシーハを諦めた。

シーハの生きる為の執念はすごいが、執念だけでことは動かない。

少しくらい思い通りにならないからといって、殺すほどのことじゃない。

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