ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

indian anonymous15

 

シャムはシーハに告白した。

壁というこのスラムのボスはアンタを狙ってて、俺に取引を持ちかけてきたことがあると。

シーハはシャムにこの暴動を何らかの形でコントロールして、マリアの涙に恩を売りたいと言っていた。

できるか、できないかは、不明だ。

どっちかというと無理だった。

だが、そうしたらこの何もないスラムから、あの何かが埋まっているNPOに戻るチャンスがある。

2人の面倒臭いことに、壁はこの暴動の首謀者らしかった。首謀者も何も、スラムで何かが起こったときに、自然に中心になるのは彼だ。

今回もトラックで配給に来る男から食料を貰い、住人へ分けているのは彼だ。

あまり接近するとシーハのことを聞かれるし、シラを切っても探りを入れられたらお終いだ。

ある日、シャムは衝撃を受けた。

壁がこちらへ近づいてきた。大柄な彼は遠くからでも目立つ。

「アンタはマリアの涙ってNPOにいた奴だろう」

「人違いじゃないですか」

「シラを切っても無駄だ。ここに来る政治家がチクったんだよ。アンタらは一定期間、このスラムから消えていた」

シーハがシャムの後ろに隠れるようにした。

「安心しろ。俺はアンタを諦めたよ。俺はただでさえ恵まれてない。これ以上、不幸な人生を送りたくないし、他人を不幸にしたくない」

 

 

 

「ここの衛生住宅の件を潰す?

イタチって奴はソレに噛んでいたんじゃないですか」

「イタチは手広くやり過ぎた。アイツは消される」

壁は暴動の目的をアッサリ吐いた。吐いたというより、シャムたちに協力を求めたのだ。

「誰に聞いたんですか」

「食料を配ってるトラックの奴だ。ソイツが誰かは、俺も詳しくは聞いてない。好奇心は猫を殺すよ」

壁はシャム猫のあだ名のついたシャムをからかった。

「俺は好奇心なんてありません。マリアの涙へは、シーハに拾われてついて行っただけです」

「そういう騎士気取りってのも危ないよ。たけど、俺はアンタのせいでシーハを諦めた」

「好奇心が駄目で、騎士も駄目ですか。だけど、あなたはどういう人なんですか」

シャムがシーハをつついた。下手なことを聞くと、また目を付けられるから止めろ。

だけど、シャムの見るところ、シーハは壁に興味を持っている。

シーハが誰かを挑発するのは、相手に興味があるときだ。

相手の手札に、かもしれないけど。ただ手札だって本人の一部には違いない。

シャムの手札は、シーハがスラム住人に襲われないように助けることくらいしかなかった。

襲撃者からかばったときのシャムが、シーハに興味があったわけではない。俺は壁とは違う。

シーハは娘じゃない。こうしてみると、大分、違う生き物だ。

どちらも大事な相手だが、すぐに死んでしまう少女と、死なない少女だ。

 

 


汚い政治家は紅茶を一口すすった。

「イタチって奴を潰そうと思ってる。知ってるか」

レイモンドはまた頭を抱えた。

そいつは甥たちとつながってると、サニーが言った。

「どうしてですか」

レイモンドは、政治家の手をあまり汚いと思わなくなっていた。誰だって何かの悪事をやって生きているのがインド2だ。

カーストを搾取して築かれた祖先の遺産で生きている自分と、どれだけ違いがあるか。

「イタチはアメリカのNPOとつながってスラムを牛耳り、俺たちの権益を犯し始めている。

奴にコレといったポシリーは無い。

スラムはただの商材だ。だが、俺たちには、やり過ぎる奴は邪魔なんだよ」

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