ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

indian anonymous17


インド政府のアノニマスを摘発するバイトだ、しかも無給の。

サニーたちにとって、エンジニア同士の内ゲバは気のしない仕事だが、1人か2人かは捕まえないと怪しまれた。

が、やはり味方を裏切るのは趣味じゃない。

まずアノニマスの見ていそうな技術サイトで、政府が摘発をしている噂を流した。

表でも流したし、政府の情報を抜いてきたハッカー逆探知して、告知するようなやり方でもやった。

分かりやすい成果が無いので、ある日、役人が文句をタレてきた。

「俺は捕まえろと言ったんだ。ネズミ捕りの噂で逃げるような奴は、またロクでもないことを仕出かす、反動分子だ」

「政府の情報を抜く人がいなくなれば良いんでしょう。アノニマスっていうのはチキンです。

捕まる恐怖があれば何もしてこない、無害な連中です。

俺たちに身内を裏切る趣味はないんです。インド2には職がないだけです。

彼らを使って、政府のセキュリティを強化したり、何かしたらいいじゃないですか」

「そんな金があったら、とっくにそうなってるんだよ」

「彼らは無給でもやりますよ。現に俺たちがそうですから」

サニーは自嘲的に言った。

金が無いのはどうにもならない。

アノニマスが消えれば、また上の連中の汚職は野放しにされる。

だが、仲間を牢獄に入れるよりマシだ。

全く虚無感が募った。

どうしてインド2には金がないのか。エンジニアは経済学者ではないから、知らない。

 

 

 

「暴動は潰す。俺にビジネス・チャンスをくれ。大した条件じゃないだろう、違うか」

シーハの釣れてきた客に、マリアの涙のスタッフは困惑した。

壁みたいなのは、対象客じゃない。表向きクリーンなNPOの看板を掲げるマリアの涙が、こういう野蛮人を扱うなら、人を間に噛ませて分からないようにする。

表向き、クリーンなNPOに、野蛮人と癒着してる噂は致命的だ。

「今回、暴動を収めるのが目的なんですよね」

「だが、衛生住宅の件を、単純に引込めるっていう手もある」

「引込めても、一度火が付いた暴動の機運は引かないよ。だいたい、あのスラムに毎日食料を配って、暴動を煽ってる奴がいる」

「ソレが誰なのか、アンタは言う気があるか」

「俺は知らないよ。本当に知らないんだ。下らない事を探って、側溝に捨てられたくないからな」

マリアの涙のスタッフは、壁を物わかりの良い奴だと判定した。シーハの男版だろう。

シーハはチンケな男を信頼しない。

現にマリアの涙で、アンタは一体裏で何をやっているのという目をシーハから向けられて、肝を冷やしたスタッフは少なくない。

 

 

また珍しい来客だった。イタチの事務所に、マリアの涙や外資は、向こうからは来ない。イタチが一方的に、押し売りしていた。

最近、足元があやしい割に来客が多い。イタチの元には、付き合いのあったのが引き、得体のしれないのが来た。

今までの奴らより、金をたんまり持ってそうな連中だ。大分、身なりが良い。

「お宅のメンバーが、ハッキングで捕まった?

だけど札饅頭でも持っていけばいいだけの話じゃないですか」

イタチは最近、人を信頼していなかった。自分の目を見て話さない奴が増えたし、門前払いを食らうことがあった。だが、目の前のNPOのスタッフは、イタチの目を見ていた。

「当事者の俺たちが持って言っても意味がないことくらい、分かるだろう。そんなのは自作自演だ。アンタは最近、方々からハブられてるだろう。信頼回復のチャンスじゃないか」

イタチはNPOスタッフの目をジロジロ見返した。こんなの、罠であっても不思議じゃない。かといって無碍にして嫌われるのもリスキーだった。終わりの近づいた汚職政治家の、切れるカードは少ない。

「元はと言えば、衛生住宅の件が原因ですよ」

「アレは多分、無しだ。アノニマスと同じだ。諸事情が重なって、無いことになったんだよ」

シーハがCMをやった衛生住宅は、一種の公共事業で、多くの利権が絡んで建つことになった。

だがスラムの騒ぎが面倒だと思う人が増えて、立ち消えになった。

公共事業に群がる奴は、大して深く考えてない。

入る人と入れない人がいて、不公平じゃないかとか。

インド2で不公平は当たり前だ。切実な実害を被る人以外にとっては、日常風景だった。慣れてしまって、いちいち騒がないから、一度騒ぎ始めると逆に、火がついて止まらない。

人々の潜在意識に訴えかける。どうしてインド2はこんなに不公正が蔓延っているのかと。

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