ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

indian anonymous18


ハッカー摘発のアルバイトの雇い主、つまり役人が、サニーの隣のオフィス・チェアに座った。

「俺たちはイタチの後継者を探してる。お前は政治に興味はないか」

「ハア、どうして俺なんですか」

サニーは作業を止めて役人を見た。

イタチの対抗馬として選挙戦に出ろってことだ。もしくは、利権の付け替え。

面倒臭いというより、畑違いすぎて分からない。

「アンタのところは、比較的キレイな手をしてる。高カーストの親族がバックにいて、アノニマスの知り合いがいて、MBAホルダーがいる。その中の誰だっていいんだが、インド2の未来向けだ」

「インド2の未来ですか。ソレは素敵な響きですが、インド2の政治家に最も向かないのが、キレイな手でしょう」

「そういうのを何とかしたいんだよ。俺たちは汚職なんかやってるから海外に付け込まれる。

アノニマスの件もそうだ。アメリカがアノニマスから手を引いたのは、気まぐれだ」

サニーは目が点になった。汚職を何とかしたいなんて、まずインド2の役人から漏れる言葉じゃない。

お前、本当に役人か。サニーは内心でつぶやいた。

次は本当に声に出さないといけない。インド2で胡散臭い奴に当たるのは珍しくないし、地雷は踏んだらお終いだ。

 

 


レイモンドの邸宅の一室は、パソコンが5大くらいおいてあって、

エンジニア連中のたまり場になっていた。

「俺は、この話を半分くらいしか信じてない。ただ、一応報告しただけだから」

サニーは宅配のチャイを飲んだ。

レイモンド宅は、最近リストラしたのか、メイドもいない。

「引き気味だな」

「お前は引かないの。なら、お前がやったらいいよ」

「だけどお前だって同じだろ。

アノニマスと役人と高カーストの婿の、どれがどれだけ胡散臭いんだよ。

どっちも安楽椅子に収まる程度の頭があってゲスくて、だけど少しだけ世の中をよくしたい希望を持っている」

「そうなの」

「違うの」

 


「事業って何をするつもりなの」

壁なら暴動は抑えられるし、だいたい衛生住宅は引込めることに決まったから、暴動の火種自体が消えた。

ただ、勢いついた貧民は何をするか分からない。

むしろ衛生住宅を建てない事に不満を持つかもしれない。シーハは壁の真意を知りたかった。

「口から出任せだろ。アンタだって事業ってよく言うじゃないか。

俺は事業が何のことかは、分からない。

だけど殺しとか汚職っていう言葉よりはマシじゃないか」

シーハは吹き出した。無邪気な笑顔だ。

やっぱり壁はシーハが好きだった。歳の差があるが、ロリコンではないつもりだ。

スラムで成人した人は、だいたい諦めた顔をしていた。実年齢より10歳は老けていた。

ただ食料が手元にくれば、それ以外のことはどうでもいいっていう奴ばかりだ。

「衛生住宅の件は、私が考えたんではないの。

ここのスタッフにCMに出ないかと言われたとき、悪くないと思ったし、それが人々の為になるならいいと思った。

だけど現実には暴動が起こった。事業は難しいのよ。世の中は難しい」

「そりゃあ、そうだろうな」

 


「この中に政治家になりたい奴はいるか」

政府の無料バイトは、無職のアノニマスのたまり場になった。

サニーは落ち着いて生きられそうなところを求めて、没落貴族の婿になるような男だった。

面倒臭いことは苦手だったし、インド2で政治家は不吉だ。汚職の臭いしかしてこない。

「やったら、お前らは応援してくれるのか」

「お前は、そういうの興味あるのかよ。スゴイな」

MBA野郎が名乗りを上げると、アノニマスたちの好奇の目線が集中した。

「俺たち、このまま生きてても大した希望がないよ。

専門技術を持ってるだけじゃ、何もできない。

俺はアメリカで働けると思ってたが、虎が外人お断りの札を立てたし、インド2を何とかするしかない」

「俺には何とかなりそうな気がしないよ」

「俺だってしないよ。インド2はクソだよ。シューティング・ゲームみたいなもんだ。いつ死ぬか分からない。初めから動かなかったら、こっちが撃たれて終了だ」

 

広告を非表示にする