ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

indian anonymous20


「私がその選挙戦のお手伝いをいたらいけない。何か、やってみたいの」

妻の申し出に、サニーは目が点になった。やってみたいって何だ。

「選挙民の半分は女性なのよ。

女が野良仕事をしたら、人気が出そうじゃない。

インド2の政治家は、必ず庶民と一緒に働いているところをCMに出す。

ソレがパフォーマンスだとしても」

「ナノは、そういうパフォーマンスをやってみたいってことか」

「毎日、家にいるのもソレはソレで退屈なのよ。

誰かの力になりたいと思うことは、変かしら。かえって邪魔かしら」

インド2の高カーストとは、人々にとって何なのか。頭がいいこと一点突破で、学歴で箔をつけてきたサニーには良くわからない。

エリザベス女王は、まず野良仕事はしない。ガンジーはイギリス帰りのエリート弁護士だが、民衆に混じって糸をつむいだり断食をして行進をした。

「お父さんには聞いたのか」

「好きにしたらって言われたの。俺はもう、どうやって家系を維持していいか、分からないと」

 

 

 

シャムと共に人夫の群れに混ざったシーハに、壁は文句を言った。

「アンタはマリアの涙で本でも読んでろよ。

この仕事は、ただでさえ奪い合いだ。ヨソのスラムからも人がくる。アンタが下らん仕事をすると、その枠が1つ減るんだよ」

「私は元々農奴よ。ここではコネってのが大事なんでしょう」

「そういうのは俺がやるから、いいよ。

アンタみたいなデキのいいのが、スラム住人の為に何か出来ると思うのは僭越だ」

「僭越なの」

「俺は文字が読めない、アンタは読める。ソレだけで特別だ」

「特別な女がこんな扱いは受けないよ。私はマリアの涙に拾われたけど、利用されて弾除けに使われそうになっただけよ」

特別な人間はもう、インド2にいない。運のいい人と、運の悪い人がいるくらいだ。幸運の女神の後ろ髪を掴める奴だ。

「この下水道ができたら、どうなるの。次は何の仕事があるの」

「さあ、アンタが経済学者ってやつにでもなって、解決してくれよ」

「経済学者がインド2の為に、何かできた試しがないじゃない」

 

 

 

「ナノには、政治家のセンスってのがあるんじゃないのか。

インドのパフォーマンスには、そういえば、そういうやつが多い。

グラミン銀行の多くがどういうわけか、女性にしか貸さない」

サニーは今時のインドの職業図鑑ってやつを、後輩の「神童」の学校から借りてきた。

もちろん子供向けの職業図鑑に、スラム住人とか汚職政治家なんてのは、乗ってない。

「どういうのがウケると思う」

「あんまり、時間は無いよ。選挙戦はもうじきだ」

電線を敷くならそれ相応の資格が要るが、工事現場なら農村から出てきた得体のしれないのでも即日採用だ。

「電気整備士の資格なんか取っても、食べていけそうな臭いはしないわね」

「だけどビンラディンってのがいるだろう、アルカイダを率いて、この前、アメリカに暗殺された。アイツの父親は富裕層の家にエアコンをつけて回って一代で成り上がった富豪だ」

 

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