隠居生活

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the brethren

The Brethren (English Edition)
Grisham, John
Vintage
2010-03-16
 
粗暴ではない受刑者をあつめた刑務所がフロリダのトランブルにあり、他の刑務所よりも環境がよくなっています。
元判事など法律に詳しい3人の受刑者が、刑務所内の日々の揉め事を扱う裁判をしていました。
 
スパイサーはビンゴの上がりをくすねて捕まりますが、家の庭にそれなりの金を埋めていて、出所したらプロのギャンブラーになることを夢見ています。
ビーチは裁判所の判事で出世していましたが、酒癖があり、酔っ払って大学生2人をはねて死亡させ、収監されています。心臓病の遺伝があるので、出所する前に死ぬと思っています。
ヤーバーも判事でしたが、脱税で捕まり、ヒッピーの妻から離婚を切り出されます。
 
 
彼らは刑務所の図書館でゲイ雑誌を見つけて、文通コーナーに美青年の写真で投稿し、手紙を送ってきた60人ほどと文通し、その中から資産家を選んで、お金を無心したり、ゲイだとバラすと脅してお金を送らせたりしています。
外で暮らしている弁護士のトレバーは、彼らの郵便のやりとりや秘匿口座の管理をしていますが、巻き上げた金の3割をもらうことになっています。
 
 
シャバにはアーロンレイクという代議士がいて、数年前に妻を亡くしてからストイックに暮らしていて、スキャンダルとは無縁でした。彼はCIAに目をつけられ、大統領選に出ないかと持ちかけられます。CIAはロシアでクーデターの動きを掴み、近年、アメリカの軍事予算が減らされていくのを不安視していました。
 
 

歴史思考

世界史を俯瞰して、思い込みから自分を解放する 歴史思考
深井 龍之介
ダイヤモンド社
2022-03-30
 
タイトルからもう少し難しい本なのかと思っていましたが、一般のラジオリスナーに向けて書かれています。
歴史というと、特定の偉人が評価されているような印象がありますが、よく見るとそれほど単純でもありません。
イエスキリストや孔子は、生前、評価されていませんでした。
弟子に裏切られて処刑されたり、失意のうちに死去したりしていました。
 
「彼らの最大の業績であり、その後、世界を変えることになる『新約聖書』と『論語』は、いずれも彼らの死後、かなりの時間が経ってから後世の人間たちによって書かれた、という点です。これらは、イエスや孔子が自ら筆をとったわけではありません。
それはつまり、イエスや孔子の言葉が、「直接」世界を変えたわけではないということです。多くの人の手を経て、間接的に波及していったんです」(34ページ)
 
それすらも、時代によってはマイナスに働くこともあります。
キリスト教徒は凄惨な内戦や侵略を引き起こすことがあったし、儒教は社会の硬直化を招いて中国の植民地化の原因になりました。
よって絶対にいいことをしたとも言い切れないというわけです。
 
偉人は、そんなに成功続きの人生は送っていませんでした。
今、成功していなければ、人生はうまくいっていないと思いがちですが、偉人のライフワークは、後半になってみなければわからないこともあるし、死後にならないとわからないことすらあります。
 
ガンジーは冴えない青年期を送っていて、イギリスへ留学して弁護士の資格を取っても、人前で話すのが苦手でした。また、家族から見ると奇行が目立ちました。
 
ケンタッキーフライドチキンの租、カーネルサンダースは運が悪く、何度も転職や破綻を繰り返し、フライドチキンの店のフランチャイズ化に成功したのは老後です。
 
武則天は唐を改革したのですが、当時の評判は悪かったです。中国は繁栄しますが、19世紀になって中央集権が原因で他国に比べて衰退が目立つようになります。時代によって評価は変わり得ます。
 
「しかし、国民が主体となる国民国家では、国民全員が命がけで自分の国のために戦うようになりました。
そこに、資本主義や産業革命によって進歩した兵器が加わり、第一次・第二次世界大戦が勃発しました。(中略)
フランス革命が産んだ一人ひとりの国民のことを考えた「人権」という概念が、のちに、数千万人を殺す世界大戦につながった」(150ページ)
 
「悩みというのが特定の価値観から生まれるものだということは、これまで繰り返し伝えてきました。だから古典を読んで特定の価値観から解放されれば、目の前の悩みは消えていきます」
(180ページ)
 
歴史を知って悩みが軽くなるかどうかは謎ですが、相対的な視点は身につきそうです。昔は稼がなくても生活できたかもしれないけど、男性は強くないといけないといわれ、女性は子供を作らないといけないのは、それはそれで面倒な社会だと思います。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

ニューワールド ニューワールド

ニューワード ニューワールド 言葉をアップデートし、世界を再定義する
竹田 ダニエル
集英社
2024-10-25
 
アメリカで育ちアメリカで研究生活をしている著者が、アメリカの若い人の生態系について書いています。
アメリカでは、セラピーを受けることは身近です。アメリカでは多様な人々が暮らしているので、黙っていると察してもらえることはありません。多くの人が要領よく話すことができますが、深い話はしない傾向があります。
人間関係に深入りすることを避け、人に悩みを相談されたときに、「私には話を聞く余裕がない」という体のいい断り文句がライフハックとして流通して、批判されたこともあります。
 
「アメリカでは日本よりも医療費が高額なので、病気を防ぐためにフィットネスが根づいていると聞いたことがあります。痩せるよりも鍛える意識が日本より強い気がするのですが、実際はどうでしょう?
確かにそういう面はあると思いますが、フィットネスインストラクターの中には、「お尻を大きくしよう」とか、「お腹を引き締めよう」とか、見た目を変えるために体を鍛えようと呼びかける動画コンテンツで人気を博している人がいまだにたくさんいます」(31ページ)
 
アメリカでは、ポジティブシンキングが支配しがちです。しかし人生には落ち込むことやネガティブなことも起こるので、そういうことを認められないと精神状態が悪化しやすくなります。
 
「ブーマー世代やX世代(1965年〜1980年生まれ)は冷戦中、冷戦以降に社会に蔓延した共産主義や社会主義にネガティブなイメージを持っている人が多い。一方で若い人たちは「ギグエコノミー」と言われる、時間や能力を切り売りする働き方で生計を立てている人も多く、使い捨て可能な労働力として不利な立場に置かれがちです。だからこそ、雇用主に不満を感じたら、ストライキによって労働者の権利を主張することに抵抗が少ないのだと思います」(55ページ)
「正直、仕事だけを頑張っても人生への虚無感は拭えないなと思っちゃうんですよね。アメリカでは、仕事を3つ掛け持ちしてもギリギリ家賃を払えるくらいという人もいるほどの物価高になっているし、社会的に成功している人を見ても実は親のコネや世襲があったりして、ロールモデルが描きにくい」(56ページ)
 
環境問題や戦争があり、世の中は良くならないという絶望を持つdoomerが増えています。
消費でウサをはらそうというDoomSpendingという現象もあります。
スキンケアやメイクアップの年齢層が下がっています。子供もSNSを直接見るようになり、大人と同じようなスキンケアをしたがる子供が増えています。アメリカでは子供が公園や図書館が閉鎖されることが増えていて、子供が健全に過ごせる場所が減っています。
 
「アメリカでは、"social media is fake"という考えが、はっきりと浸透しているんです。SNSは人生のハイライトのような瞬間を切り取って掲載しているだけ。キラキラした毎日を送っているように見える人が、その裏で激しく落ち込んでいたり、怒ったり、悲しい思いをしていても私たちは知らない。だから、SNSだけを見て、そこまで羨ましいと思う必要は、本当はない」(103ページ)
 
girlーは、ー女子みたいなタグとして使われています。girl mathなら買い物でよくあること、girl dinner なら手抜きの食事ですが、差別的なステレオタイプだと批判されたこともあります。
 
アメリカでは若年層の相対的貧困が高くなっていて、お金持ちと結婚して専業主婦になりたいみたいな人も増えています。そういう人たちが美容に凝り、女性を商品とみなすようなコンテンツをSNSで発信して問題視されることもあります。
一方で、dicenter menという男性を中心にしない価値観も広まっています。
 

ジャック・オブ・スペード

ジャック・オブ・スペード
ジョイス・キャロル・オーツ
河出書房新社
2018-09-22

アンドリュー・J・ジャックは作家で、それなりの小説を書いて売れていて、紳士のためのスティーブン・キングといった惹句で紹介されることもありました。

しかし彼はジャック・オブ・スペードというペンネームで、もう少し品のない推理小説を書くことがありました。

 

「我らがジャンルの制約をバカにする似非インテリの文学通気どりたちは、自分で一度ミステリーを書いてみるがいい。成功したミステリーを書くのがいかに難しいか分かるはずだ。悪が追求され、捕えられ、対処される。そして明快な、一点の曇りもないエンディングが訪れる。

ジャック・オブ・スペードのミステリーは、結末がもう少し残酷で、荒々しい。たっぷりの悪があちこちからこぼれ落ち、モップできれいに拭き清めるには無理がある。しかも多くの場合、登場人物は全員死ぬ、というか殺される」

 

広東語の世界

広東語の世界-香港、華南が育んだグローバル中国語 (中公新書 2808)
飯田 真紀
中央公論新社
2024-06-19
 
日本の東京方言のように、中国は全国民に北京語に統一した教育をしていますが、各地方に方言はあります。
広東語は、南の方の広東付近で話されています。
香港人が話しているので有名です。
香港映画を通じて香港の文化が世界に広がったこともあります。
かつて衰退していた中国から移民が世界中に渡りましたが、広東語の話者が大勢いました。
世界の中国人の中では、広東語はメジャーな存在です。
北京語と広東語は、日本の感覚の方言というよりは、英語とオランダ語くらいの違いがあります。

the poet

The Poet (Jack Mcevoy 1) (English Edition)
Connelly, Michael
Orion
2009-12-23
 
マカヴォイは新聞記者をしています。
双子の弟は刑事をしていたのですが、ある猟奇殺人事件をうまく解決できず、追い詰められて自殺します。
マカヴォイは弟がなぜ自殺したのか気になり、その事件について書くことにします。
マカヴォイは近親者なので、殺害された状況について警察から情報を得ることができました。
自殺した車のガラスに、out of space out of time という言葉が書いてありました。
調べてみると、エドガーアランポーの詩のようです。
現場を詳しく調べると、他殺の疑いが浮上します。
 
警察官の自殺についてデータベースを調べると、巡査の自殺は多いが、刑事の自殺は少ないことがわかりました。
刑事の自殺はリストアップできるくらい少数でした。
 
グラッデンは幼児愛好者で、子供の集まるところに出かけて眺めたり写真を撮ったりしています。ある日、回転木馬の近くで子供を見ていると、警察が近づいてきたので、急いで逃げました。
係員が通報したに違いないと罵りますが、結局は捕まります。
グラッデンはいつも幼児愛好者のネットワークに接続して情報を集めています。
グラッデンは子供の頃、レイプされたことがありました。
加害者は警官で、父親のいない子供の父親代わりをする地域のパートナーシップに参加していました。
 
警察官の連続殺害は、FBIが関心をもつ事件です。
マカヴォイがデータベースで見つけた自殺した刑事の何人かは、遺言にポーの言葉を残していることがわかりました。
これを他殺だと見抜いたのは、マカヴォイでした。
マカヴォイは警察のデータベースで不正に情報を集めているとしてFBIに逮捕されそうになりますが、のちに協力関係になります。