隠居生活

読書メモです。真面目に書き始めたのは2026年からです。最新の投稿は書きかけです。5年以上前の過去記事は、自分用のメモにつかっています。

ハイブリッド ヒューマンたち

ハイブリッド・ヒューマンたち――人と機械の接合の前線から
ハリー・パーカー
みすず書房
2024-07-19
 
最近の義足はハイテクになっていて、慣れれば自在に使えるようになります。
街中で目を惹き、いろいろな反応もされます。
軍で負傷し、足を切断して義足をつけ始め、義足の生活に馴染もうとする様子が、多角的に書かれていきます。
著者は作家で、障害者の置かれている状況への考察や、葛藤を明晰に表現する力があります。
どのようなテクノロジーが活かせるのか、積極的に調査もします。
体の一部をハイテク機材に置き換えて生活している障害者は、現代のテクノロジーの最先端にいます。
 
著者はイギリスのアフガニスタン出兵で、地雷を踏み、一命を取り留めます。
軍の病院は救急救命や外科手術の技術が高く、生存率も民間より高めです。
ただ1年前に負傷していたら助からなかったというくらい、最新の技術を適用して救命されたそうです。
著者は全身に傷を負い、とくに足は切断しています。
回復後はリハビリをしますが、損なわれた自分の体と、どう折り合いをつけていくかが問題になります。
最初は床に落ちたものも拾えないし、向かいの建物に行くこともできません。
軍の病院には多くの負傷者がいます。
リハビリの進んだ人もいて、励みになります。
酷い損傷を負っている人が多く、見舞いに来る多くの人が、生き残らない方が楽だったのでは?という感想を内心、持つようです。
足のない人のイメージの片側には、物乞いをする足のないホームレスがあり、もう一方には、義足で競うパラアスリートがありました。
義足とはソケットを切断部につなげるのですが、リハビリは義足をつけると血が出るくらいの頃から始めていて、最初は痛みます。最初は、脳は自分の足があると思っています。
最初は何度も転倒しますが、練習すると普通に多くの場所を歩けるようになっていきます。
足を切断しなかったのとは、全く違う人生になったと感じています。
テクノロジーの恩恵を感じています。
障害者というカテゴライズはしっくりせず、ハイブリッド・ヒューマンという感じがするそうです。
ソケットがうまくハマらず、骨に穴を開けて、直接義足を繋ぐ人もいます。
負傷者は軍人が多いので、辛いことには耐性があるのか、リハビリや新しい手術に意欲的な人が多いです。
義足をつけると、接続面の皮膚が痛むこともあり、苦痛に強い人のほうが、義足をつけてリハビリをすることに積極的なのだろう。
四肢を切断すると神経痛や幻肢痛があることもあり、切断したほうがいい可能性があっても、四肢を維持しようとする人も多いそうです。切断してリハビリがうまくいった人は、四肢を維持しようとしていた時間は無駄だと感じるそうです。
 
痛み止めは何種類も提供され、効くのだが、他の感覚が鈍くなり、快適とはいえません。
痛みに慣れられるなら、止めてもいいそうです。
急に止めると、禁断症状があるので、少しずつ減らしていきます。
 
心臓や脳のインプラントをしている人がいますが、インプラントは感染症の温床になるリスクがあります。
難聴の人は人工内耳を埋め込むと、聞こえるようになります。
そういったものの初期段階に、進んで実験台になったような人たちもいます。
 
ドイツのテクノロジーフェアなどで、多くの障がい者を手助けするツールが販売されます。電動車椅子や義肢などです。著者はそういったものにいくつも赴き、レポートします。幾らかの人は補償や補助金をもらい、そういうものを手にすることもあります。そこから漏れている障害者も大勢います。
 
料理をするロボット、掃除をするロボットなど、作業さえこなしてくれれば人型である必要はないが、人型のロボットを作ると、人間の体の仕組みの理解につながります。
ボディハックの流行が2010年代にあり、方角がわかるチップとか、暗闇で光るとか、支払いに使えるチップとかを埋め込んでいる人がいます。
 
障害者に心無い暴言を吐く人は、わずかながら増えているそうです。いい気味ね、といわれたこともあるそうですが、何も言われないとしても、通りにくい道にあたったり、交通機関を使うときに、いたたまれない気持ちになることが多かったそうです。
義足などのテクノロジーは障害をカバーし、目立たなくさせることもできます。
逆に目を惹くようにエッジの効いたデザインの義足を作っている人もいて、そういうものを使う人もいます。元々ダンサーだった人で、義足でパフォーマンスをしている人もいます。
 
軍では負けは死を意味するので、弱さを認める文化がありません。障害者になると、そういう価値観が内面化されていて、慣れるのが大変です。